歯の表面には、食べ物のかすや色素、プラーク、歯石など、さまざまなものが付着する可能性があります。
歯に付着するものの1つがバイオフィルムです。
バイオフィルムという名称を聞いたことがない人もいるでしょう。
その場合は、ピンとこないかもしれません。
今回は、バイオフィルムがいったいどのようなものか、解説します。
バイオフィルムとは?
バイオフィルムとは、細菌が菌体外多糖体などの物質を分泌することで形成される、微生物の集合体です。
バイオフィルムは台所や川底の石のぬめり、歯垢(プラーク)など、身の回りのさまざまな場所に存在します。
膜状の構造は、細菌を外部の抗菌薬や免疫などのストレスから保護するバリアとなります。
そのため、従来の治療法が効きにくくなる原因となるのです。
バイオフィルムの主な特徴として、まずはバリア機能が挙げられます。
微生物が作り出す強固な膜が邪魔して、抗菌薬や免疫細胞の攻撃が内部に届きにくくなるのです。
バイオフィルムは物理的にこすり取ることが難しく、うがい薬などでは効果がないことが多いため、除去するのが困難なのも特徴の1つです。
口腔内で発生するバイオフィルムとして、プラークが挙げられます・
プラークは細菌の塊で、歯周病や虫歯の直接的な原因となるのです。
人体以外にも、水道管の内部、人工臓器の表面、創傷など、バイオフィルムは多くの場所で形成されています。
バイオフィルムの対処法は?
バイオフィルムができたときは、どのように対処すればいいのでしょうか?
バイオフィルムは、物理的除去によってある程度取り除けます。
歯磨きなどのセルフケアを行い、バイオフィルムが成熟する前に除去することが重要です。
セルフケアでは除去できないバイオフィルムは、歯科医院で専門的なクリーニングなどを受けて除去する必要があります。
IPMPなどの浸透性のある殺菌剤の使用が特に効果的とされているため、一度試してみてはいかがでしょうか。
まとめ
歯の表面に付着する細菌の塊でできた膜をバイオフィルムといいます。
特にプラークがよく見られ、虫歯や歯周病の原因菌が増殖する原因にもなっているのです。
バイオフィルムは人体にだけできるものではありません。
お風呂のぬめりや水道管の内部、人工臓器の表面、創傷など、さまざまなところにできる可能性があります。
歯の表面に付着したバイオフィルムはセルフケアを試してみて、落としきれない場合には歯科医院で専門的なケアを受けましょう。