虫歯の治療では、抜歯せずなるべく歯を残した状態で治療するケースが増えていますが、場合によっては一度歯を抜いて治療したら、歯を戻すという方法もあります。
一度抜歯して戻す治療のことを意図的再植術といいますが、どのようなケースで向いているのでしょうか?
意図的再植術はどのような時に行う?
根管治療では、歯の内側にある虫歯に感染している部分を見つけて治療する必要があるため、マイクロスコープが活用されています。
肉眼では見えないところまで細かく判断できることから、治療の精度がかなり高まっていますが、中には判別はできても対応できないケースもあるのです。
マイクロスコープでは対応できない場合に、歯の意図的再植術によって治療されるケースがあります。
意図的再植術とは、治療する歯を一度抜歯して歯根部分の治療を行い、歯茎に戻して固定するという治療方法です。
ただし、どんな歯でも可能なわけではありません。
治療が可能な歯は限られていて、抜歯に適している歯でなければ治療はできず、抜歯した場合に与えるダメージは少なくありません。
ちなみに、成功率は決して低くはなく、成功するケースのほうが多いです。
しかし、治療が可能かどうかをしっかりと見極めたうえで治療をしても、10回に1~2回は失敗する可能性があります。
意図的再植術が向いている人
通常の根管治療では歯根部分の治療に対応していないことが多いです。
歯根の治療が必要なケースは意図的再植術に向いています。
意図的再植術は、歯根にアプローチしたくても、頬側の骨が厚いために歯根にアプローチできないという人にも向いている治療方法といえるでしょう。
歯根にアプローチする場合は頬側の歯肉を切開して行うことが多いのですが、骨が邪魔になっている場合の治療方法としても検討されます。
ただし、治療が可能かどうかは歯根の形状によって異なり、抜歯しやすい歯でなければ治療はできません。
歯根が癒合して1つになっている場合は抜歯しやすいのですが、湾曲したり分かれていたりすると治療できないケースもあるでしょう。
また、意図的再植術は、近くに神経や血管が通る道があるため、治療の際に傷つけてしまうリスクがあるところを治療する場合にも向いています。
まとめ
虫歯が悪化して根管治療が必要になった場合には、マイクロスコープを用いて外科的な治療を行います。
しかし、外科的治療で対応できないケースもあるでしょう。
対応できないケースでは、一度歯を抜歯して歯根を治療し、再び歯茎に戻すという意図的再植術による治療を行うこともあります。
ただし、意図的再植術ができるケースは限られていて、抜歯しやすい形状をしている歯でなければ治療はできません。