
骨の中に細菌が侵入して炎症が起こることを骨髄炎といいます。
その中でも顎の骨に口腔内の細菌が感染したものが、顎骨骨髄炎です。
特に、下顎は上顎よりも血流が弱く細菌が死滅しづらいことから、一般的には下顎の方が骨髄炎になることが多いでしょう。
主な種類や治療方法について解説します。
額骨骨髄炎の種類
顎の骨の骨髄に細菌が感染して炎症を起こす病気を顎骨骨髄炎といいますが、原因によっていくつかの種類に分けられます。
悪性腫瘍を治療するため、放射線を大量に照射したことで顎骨の血流が滞ってしまい、さらに虫歯などの歯性感染が加わって骨髄炎を起こすことがあります。
放射線の照射と虫歯などの歯性感染によって起こる顎骨骨髄炎のことは、放射性骨髄炎と呼ばれるのです。
また、骨粗しょう症や悪性腫瘍の骨転移などを治療する際に使用する骨吸収抑制剤の副作用として発症することもあります。
骨吸収抑制剤として用いられることが多いのは、ビスフォスフォネート系製剤やデノスマブなどの薬剤です。
骨吸収抑制剤関連顎骨壊死と呼ばれる副作用による発症は、初めて報告された2003年以降患者数が増加傾向です。
ただし、どのように発生するのかは詳しく分かっておらず、ビスフォスフォネート系製剤を内服していると約0.1%で自然発生します。
また、抜歯した場合は1%ほど発生すると報告されていて、4年以上継続して内服していると発生率が高まるともいわれているのです。
主にどう治療するのか?
顎骨骨髄炎は、乳幼児であれば急性に発症することはあるものの、多くの場合は抗菌薬を飲むことで症状の悪化を抑制できます。
成人が急性で発症した場合には、薬物療法に加えて歯茎を切開し、膿を出したり抜歯をしたりして原因の歯を治療することになるでしょう。
また、骨が壊死して分離している場合は、壊死した骨を除去することだけを行います。
顎骨骨髄炎が慢性的に起こった場合は薬物療法を行うことが多いのですが、症状によっては外科手術を併用することもあるでしょう。
外科手術を行う場合には、患部を切除したり患部皮質骨という細かい骨を除去したりすることが中心となります。
放射線によって発症した場合の治療は通常の治療に近いものとなりますが、炎症が広範囲に広がっていることが多いため、治療には時間がかかるでしょう。
副作用による発症に関しては治療方法が明確にはなっていません。
以前は保存療法がおこなわれていましたが、最近では外科治療を行うケースも増えています。
まとめ
骨に細菌が感染して炎症が起こる骨髄炎の中でも、特に顎の骨の骨髄に感染し、炎症が起こることを顎骨骨髄炎といいます。
上顎よりも下顎のほうが血流が弱いため、顎骨骨髄炎を発症しやすいという特徴があり、原因の違いで2つの種類に分けられます。
治療においては薬物療法が主となりますが、症状によっては切開して炎症を起こした部位を切除するなどの外科治療が行われることもあるでしょう。