
体の中には、病気が原因で袋状のものが発生してしまうことがあります。
発生する袋は嚢胞と呼ばれるものです。
内部に液状のものが入っていることが多く、口内では顎の骨の中か舌、唇などにできることがあります。
顎の骨の中にある歯根にできる歯根嚢胞について解説します。
歯根嚢胞とは?
歯は、歯茎の上にある歯冠と歯茎の中にある歯根に分けて考えることができます。
歯根には、膿が詰まった袋状の組織ができることがあるのです。
体内にできる病気が原因の袋を嚢胞といい、歯根にできてしまった嚢胞を歯根嚢胞といいます。
虫歯が進行すると、歯の神経まで感染が進み、やがては歯根の先端や根尖まで感染が進んでしまうのです。
根尖まで虫歯が進行すると、根尖性歯周炎となって歯茎の内部が破壊され、発生した膿を袋状の組織が包み、内部で次第に増えていきます。
膿が溜まった状態になると、歯をかみ合わせたときに痛みが生じてしまい、しっかりと噛めません。
細菌に感染したことが痛みの原因で、歯が浮いているように感じることもあります。
また、軽く指で押すだけで、痛みを感じることもあるでしょう。
膿が増えてくると、あふれて排泄するための穴ができ、歯茎や骨を破って出てくることがあります。
反対に、膿が出てくることができずにいるケースもありますが、その場合には内圧が高まり、歯茎に腫れが生じて激しい痛みが起こってしまいます。
歯根嚢胞の初期段階は、小さいためなかなか気づくことができません。
レントゲン撮影などで偶然に発見されることがあるだけです。
歯根嚢胞の治療法
歯科医院を受診して歯根嚢胞ができていることが分かった場合には、どのような治療方法があるのかを解説します。
主な治療方法として挙げられるのが、根管治療です。
歯の神経を除去して歯の根の内側にある細い根管という管の中を洗浄し、再感染を防いだうえで密閉する治療です。
根管治療は重度の虫歯の治療などでも行われる治療ですが、症状によっては対応していないこともあるため注意してください。
根管治療では完治が難しい場合には、嚢胞を摘出する治療を行いますが、その際は歯茎を切開して顎の骨を削らなければなりません。
症状がひどく、上記のような方法では治療が難しい場合は、抜歯が必要になる可能性があります。
重症化する前に治療すれば抜歯のリスクは低いため、痛みや違和感がある時はなるべく早く歯科医院で相談した方がいいでしょう。
まとめ
顎の骨の中にある歯根の周囲に、嚢胞という病的な原因でできる袋状の組織がある場合は、歯根嚢胞と呼ばれ、内部には液体状の膿が詰まっています。
内部の膿を放置していると、やがて歯茎からあふれ出してしまいます。
そのため、あまり膿が溜まりすぎないうちに治療しなければなりません。
治療方法としては、根管治療や嚢胞の摘出、あるいは抜歯などがあり、早い段階で治療を受けた方が歯を残せる可能性は高くなります。