こんにちは、歯科衛生士の安藤です。
みなさんは「知覚過敏」という言葉を聞いたことはありますか？
虫歯はないのに歯がしみる原因の多くが知覚過敏です。
今回は知覚過敏の原因や予防法についてお話していきます。

知覚過敏のメカニズム

歯はエナメル質という非常に固い素材に覆われ、その中に象牙質と神経があります。
しかし歯の根の表面にはエナメル質が無いため、根が歯茎から露出すると象牙質に様々な刺激が伝わり、それが神経に伝わりしみてしまいます。

知覚過敏の原因

歯根が露出していても必ずしも知覚過敏が起きるというわけではありません。

①露出した歯根がプラークで汚れている

プラーク中の細菌が出す刺激物質が歯根にあると、しみることがあります。

②歯ブラシでゴシゴシ磨いている

研磨剤の入った歯磨剤をたっぷりつけて磨いていると、知覚過敏になりやすいです。

常に象牙細管の穴があいたままになり、刺激が伝わりやすくなっています。

③歯ぎしりや食いしばり

過剰な力がかかり、歯根の表面が割れたり剥がれたり、くさび状にくびれ刺激が伝わりやすくなるなどがあります。

知覚過敏の治療法と予防

①正しいブラッシング圧で歯を磨く

やわらかめ～普通の固さの歯ブラシで露出した歯根の表面についたプラークを丁寧に落とします。

注意点は力強くゴシゴシ磨かないことです。
歯根は歯の表面に比べて柔らかいのでゴシゴシしてしまうと、かえって歯根を削ってしまう可能性もあります。
なので、優しく小さな動きで丁寧に磨きましょう。

また、歯磨剤も荒い粒子の研磨剤のものより、研磨剤無配合あるいは低研磨剤のものがおすすめです。

 ②知覚過敏防止の歯磨剤を使用する

歯根の表面にあいた象牙細管の穴をふさいで刺激が伝わりにくくなる成分により、１～２週間で症状が改善することがあります。

③歯根の表面にコーティング剤を塗布する

歯磨きでも症状が改善しない場合は、露出した根面にしみ止めの薬を塗布し、歯面に一層の膜を貼り刺激を伝えにくくします。

④歯根の露出分を埋める

コーティング剤でも改善しない場合は、歯と同じ色のプラスチックの材料で歯の表面を覆い刺激を遮断します。
歯を削る必要はありませんがプラスチックなので欠けやすく、欠けてくるとまわりに汚れがたまりやすくなることがあります。

⑤歯の神経を取る

上記の治療でも全く改善しない場合は最終手段として歯の神経を取ります。
確実におさまりますが、歯の神経をなくした歯は健康な歯に比べてもろくなってしまうのでおすすめできません。

歯がしみる時は虫歯ではなく知覚過敏の可能性もあります。
しみる症状のある方は一度歯科医院に足を運んでみてください。