近年、予防歯科の必要性は周知されつつありますが、まだ予防歯科自体を知らない人も少なくありません。
予防歯科は歯科医のみならず、国も重要だと考えているのです。
国が予防歯科を重要であると考えているという根拠について、解説します。
診療報酬が変わりました
虫歯や歯周病は、自覚症状が出るころにはかなり進行していて、歯にダメージを与えています。
重症化してから治療をしても、すでに受けたダメージは回復しません。
歯のダメージを防ぐには、まだ回復可能な状態のうちに治療をすることが大切です。
初期の状態で発見するために必要なのが、予防歯科です。
しかし、大切なはずの予防歯科は以前、国民保険が適用されない自由診療でした。
国の方針が変わったと分かったのは、2020年の診療報酬改定です。
診療報酬とは、医療機関に国民健康保険から支払われる治療費のことで、3割負担なら診療報酬は7割となります。
診療報酬は2年ごとに改定されます。
2020年の改定では、歯科疾患の継続管理の推進や口腔疾患の重症化予防などが認められました。
つまり、予防歯科が保険適用の治療となったのです。
なぜ、国が重要視しているといえるのか
2020年の診療報酬改定は、国が予防歯科を国民の健康維持に必要不可欠なものと認めた、と言える大きな出来事です。
なぜ、国が認めたと言い切れるのかというと、内閣府が改定以前に発表した基本方針に理由があります。
骨太方針と呼ばれる基本方針の中に、健康増進に向けた取り組みについての記載があります。
口腔の健康は全身の健康にもつながるもので、生涯を通じた歯科検診やフレイル対策にもつながるとしているのです。
フレイルとは、健康な状態と要介護状態の間にある状態のことで、身体的機能、認知機能の低下がみられます。
「骨太方針2019」と「骨太方針2020」では、口腔の健康は全身の健康につながるため、歯科をはじめとする関係者は連携してより良い歯科医療を実現しよう、という趣旨の記載がされています。
以上のとおり、国が予防歯科を認めて推進する方針を示したことから、予防歯科の保険適用につながったのです。
診療報酬が改定されたことで、予防歯科にかかる治療費の負担は軽減され、より多くの人が受診できるようになりました。
予防歯科の必要性を考えて、定期的に受診するようにしましょう。
まとめ
予防歯科は受診する人が増えていますが、2020年の診療報酬改定によって予防歯科も保険が適用されるようになったことで、さらに予防歯科を受診しやすくなりました。
予防歯科によって口腔の健康を保つことは全身の健康につながるので、口腔の健康を維持しよう、というのは、国の方針でもあります。
まだ予防歯科を受診したことがない人は、一度受診して自覚症状のない虫歯や歯周病がないか、確認してもらいましょう。