予防歯科は、虫歯や歯周病を予防する診療科目です。
予防のためには定期的なメンテナンスやクリーニングなどが必要ですが、特に重要なのが唾液です。
唾液は、虫歯や歯周病の予防にどのような役割があるのでしょうか?
唾液の役割と、分泌が減少したときの対処方法を解説します。
唾液の役割は?
人間の体には、元々虫歯や歯周病を防ぐ力が備わっています。
防ぐ力というのが、唾液です。
唾液には、どのような力があるのでしょうか?
唾液の力として有名なのが、消化を助けるアミラーゼという酵素です。
アミラーゼは、でんぷんを分解して消化を助けてくれますが、他にも多くの働きがあるのです。
虫歯を防ぐ力として、再石灰化作用が挙げられます。
歯質が虫歯菌の出す酸で溶けて脱灰したとき、流出したカルシウムやリンなどを唾液が補って、再石灰化を助けるのです。
また、口の中が酸性になっていると、虫歯菌が好む環境となります。
唾液は酸性になった口内を中和して、中性に近づけます。
中性になると、歯の脱灰を防ぐことができるのです。
食後は、口の中に食べかすなどが残り、虫歯菌などを増やす巣になりますが、唾液はこれも防ぎます。
唾液の浄化作用によって食べかすは洗い流され、嚥下も助けてくれるのです。
また、粘膜を覆って滑らかにしてくれる円滑作用もあります。
虫歯菌や歯周病菌は細菌の一種であり、唾液には細菌を殺菌・抑制する抗菌作用もあります。
また、歯の表面を覆うペリクルという膜を形成して歯を守る、歯質保護作用もあります。
唾液が減少した場合の対処法
唾液は口の中に分泌されますが、糖尿病や加齢、口呼吸、ストレス、薬の副作用、喫煙や飲酒などの生活習慣によって、口内が乾燥して唾液の分泌量が少なくなることがあります。
唾液が減少した場合には、どのように対処すればいいのでしょうか?
対処法としてまず挙げられるのが、食事の時によく噛んで食べることです。
よく噛むことで、唾液の分泌を促すことができます。
固いものなどを噛むと、特に効果的です。
また、キシリトールガムを噛むのもおすすめです。
耳の下や下顎の奥、頬などにある唾液腺をマッサージするのも、効果的です。
マッサージをする際は、あまり力を入れ過ぎないように気をつけて、軽く押すくらいの力で行いましょう
まとめ
虫歯や歯周病の予防の第一歩は、唾液をしっかりと分泌させることです。
唾液は虫歯の第一歩である脱灰を回復させる作用や、殺菌作用、食べかすを洗い流す作用などがあり、日常のケアと併せて虫歯や歯周病を防ぐことに役立つのです。
唾液が減少すると、虫歯や歯周病のリスクが高まります。
唾液の分泌が減少する原因はいくつかありますが、当てはまることがある場合には改善し、唾液の分泌量を増やすことを考えましょう。