虫歯は、多くの場合歯の上部にできますが、高齢になってくると虫歯ができる場所が変化します。
高齢者の虫歯は、歯の根元に虫歯ができやすいのです。
高齢になると、なぜ歯の根元に虫歯ができるようになるのでしょうか?
根元に虫歯ができやすくなる理由について、解説します。
高齢者の虫歯が根元にできる理由
歯の構造は、歯茎より上にある歯冠部と、歯茎の中にある歯根部に分かれています。
通常、虫歯になるのは歯茎より上にある歯冠部です。
歯冠部の虫歯が悪化した結果、歯根部まで広がっていくということはありますが、直接歯根部にできることは滅多にありません。
しかし、高齢になると歯の根元部分、根面に虫歯ができることが多くなります。
高齢になると根面に虫歯ができるようになる原因は、唾液量が少なくなることにあります。
虫歯菌は酸を生み出して歯を溶かし、歯に含まれているカルシウムやリンが流れ出して脱灰という状態になります。
唾液に含まれるカルシウムやリンが流れ出した成分を補って再石灰化することで、虫歯を防ぐことができるのです。
しかし、高齢になると唾液が少なくなり、虫歯を防ぐ力が弱くなります。
根面は、通常であれば歯茎に覆われている部分です。
しかし、高齢になると歯茎が下がってしまうため、根面に虫歯ができやすくなるのです。
上記の状態を根面う蝕といい、歯冠部の虫歯と比べると重症化しやすい点が特徴です。
歯の表面にはエナメル質があり、内側に象牙質があります。
エナメル質の厚さは均一ではなく、上部ほど厚く下部になるほど薄くなるという特徴があります。
根面のエナメル質は薄いため、すぐに象牙質へと達してしまいます。
虫歯が象牙質まで達すると、冷たい食べ物や飲み物を摂取したり、硬いものを噛んだ時に痛みを感じるようになります。
根面の虫歯を予防するには
歯茎が下がらなければ、根面は虫歯になりません。
歯茎が下がる原因は歯周病が多いので、歯周病を予防するのが最も大切です。
歯周病を予防するのであれば、予防歯科を受診しましょう。
歯周病を予防したいからといって、むやみに力を入れて磨くことはやめましょう。
なぜなら、力を入れ過ぎると歯肉を傷めて歯茎が下がりやすくなるからです。
そうならないよう、優しく丁寧に磨いてください。
正しい磨き方も、予防歯科で指導してもらえます。
まとめ
高齢になると、歯冠部の虫歯だけではなく露出した根面に虫歯ができることが多くなります。
根面う蝕といって、エナメル質が薄い箇所なので重症化しやすいため、予防しておくことが大切です。
根面は歯茎が下がることで露出するので、まずは歯茎を下げないために、原因となる歯周病を予防しましょう。
また、歯磨きの際は歯茎を傷めない磨き方をしてください。