歯のトラブルを未然に防止することを目的として、歯科医院でクリーニングや健診を定期的に受けるのが予防歯科です。
その予防歯科で重要なものとして、「8020運動」というものがあります。
ポスターなどで見たことがあっても、具体的な内容は知らない人も多いのではないでしょうか?
8020運動とは何か、解説します。
予防歯科で重要な8020運動とは?
歯は、通常であれば28本、親知らずがすべて生えた場合には最大で32本生えてきます。
しかし、亡くなる時に全ての歯が残っているケースはごく少数です。
加齢と共に歯は失われてしまうため、高齢者の場合、歯をすべて失っている人も珍しくありません。
高齢になっても歯を失わないようにして、80歳で20本以上の歯をキープしようという運動が、8020運動です。
元々は、80歳までに失う歯を10本以下にする、つまり18本は残すことを目指そうという運動でした。
1985年に提唱されたこの運動は、1987年に8010といわれ、1989年に愛知県で現在の8020運動が始まり、当時の厚生省の成人歯科保健対策検討会の中間報告で歯科保健目標として8020運動が取り上げられたことで、全国へと展開していきました。
2000年に厚生省の歯科保健医療対策事業の一環として、都道府県が実施主体となる8020運動推進事業部を展開して、本格的な運動が始まったのです。
同年、財団法人8020推進財団が設立されています。
東京都港区では、2013年に80歳以上の区民の半数以上が、8020を達成したと発表しています。
全国で初めての達成となり、当時の全国平均の達成率は38%でした。
海外では8020運動が行われている?
2016年の統計では、80歳以上の日本人の平均残存歯の本数は、17本という結果でした。
しかし、歯科先進国のスウェーデンでは、80歳以上の残存歯の平均が20本を超えています。
スウェーデンやアメリカなどの諸外国と日本では、予防に対する意識に大きな違いがあることで、残存歯も大きく違っています。
日本でも予防歯科という考え方は広まりつつありますが、まだ海外には及びません。
海外では、ごく当たり前に予防歯科を受診しているのです。
日本では虫歯などのトラブルが起こってから歯科医院に通う人が多いのですが、海外では歯のクリーニングや検診のため、定期的に通う人が多いのです。
習慣になっているため、予防歯科は当たり前のものと考えられています。
8020運動を意識していれば、日本でも予防歯科を受診してメンテナンスや検診を受けるようになります。
多くの歯が残っていれば、食事も楽しくなり美味しく感じられるので、予防歯科を受けて8020を目指すことをおすすめします。
まとめ
8020運動が提唱されてから40年以上経過していますが、日本で達成したのは、まだ一部の地域に限られています。
「歯を大切にしよう」との意識がなければ、異常が発生しない限り歯科医院にはなかなか行かないかもしれません。
しかし、歯を大切にしたいという意識があれば、予防歯科を積極的に受診するでしょう。
すでに達成しているスウェーデンを見習って、予防歯科にも力を入れるべきです。
歯を長く残すためにも、予防歯科を受診しましょう。