矯正治療で使用する矯正装置の多くは、歯を動かして歯並びを整えます。
しかし、矯正装置の一種である床矯正では、歯列を整えることを目的としていません。
では、床矯正は何を矯正するために装着しているのでしょうか?
床矯正の働きや、メリット・デメリットなどを解説します。
床矯正とは?
矯正治療というと、歯に金属のブラケットという板を装着してワイヤーで抑え、歯を押し込むようにして動かすことが多いでしょう。
しかし、単純に歯を動かすだけでいいとは限らないのです。
顎の大きさと歯の大きさが合わなければ、歯を動かしても入る場所がないため、歯が重なったり斜めになったりするかもしれません。
歯を真っすぐにするため、抜歯をしてスペースを作る必要が出てくる可能性もあります。
永久歯は一度抜くと、もう生えることはありません。
抜歯をできる限り回避するために、顎の骨を広げてスペースを作ることを目的に行うのが、床矯正です。
床矯正は、歯並び全体を外側に押しやって歯列を広げ、歯が並ぶスペースを作り出す矯正治療です。
細かい調整はできないので、歯並びが乱れている場合はスペースを作った上で、別の矯正装置を使用して歯列を整えることとなります。
床矯正の対象は、基本的に子どもに限られています。
その中でも顎の骨が成長しきっていない12歳までに行う治療です。
状態によってはできないこともあるので、最初にきちんと確認しておきましょう。
床矯正のメリットとデメリット
床矯正を受けるメリットとして、まずは自分で取り外しができるという点が挙げられます。
食事の時など、邪魔になるようなら外して食事が可能です。
もちろん、自分でつけ直すこともできます。
矯正治療は痛いものだと思っている人もいますが、床矯正の場合はあまり痛みがありません。
一般的な矯正治療では、歯に強い力をかけて移動させていくのですが、床矯正はゆっくりと弱い力で移動させていくため、痛みも少ないのです。
一方、デメリットとしては、床矯正装置が大きく形状も複雑なので、装着していると発音しづらく、異物感も強いという点があります。
しかし、外したままでは矯正が進まないため、子どもを説得して装着させなければいけません。
床矯正の違和感は、総入れ歯を装着したときと同程度であり、次第に慣れてくるため、あまり気にしないでおきましょう。
意識しすぎると、かえって違和感が強くなってしまいます。
まとめ
歯の矯正治療をしても、歯がきちんと並ぶスペースがなければ、キレイな歯列にはなりません。
抜歯をせずにスペースを確保したい時、床矯正を行って歯列を広げ、歯が並ぶように調整します。
床矯正は、自分で取り外すことができるので、食事や歯磨きの時に外せば、快適に過ごすことができるでしょう。
しかし、外したままにしていると、矯正治療が進みません。
外したら、なるべく早く装着し直すようにしてください。