虫歯は、進行するほど歯の奥まで感染が広がっていきます。
歯の根の内側にある根管まで感染が進むと根管治療が必要となりますが、場合によっては根管治療でも治らない、あるいは治療ができない場合もあります。
根管治療では治らない歯根部の幹部に対して行う歯根端切除術が、どのような治療なのか解説します。
歯根端切除術とは?
根管治療は、歯の根の内側にある根管という細い組織が虫歯に感染したとき行う治療です。
しかし、根管の奥にある歯根の先端には、治療が及ばないこともあります。
根管治療では治らない場合、通常は抜歯をする必要がありますが、抜歯を避けたい場合は歯根端切除術で治るかどうか検討します。
歯根端切除術とは、どのような治療でしょうか?
歯の根の先に炎症が起こって歯根嚢胞ができている場合に、根管治療では治らないことがあるため、歯根端切除術は歯根の先端を切除して治療を行います。
なぜなら、嚢胞の原因が歯根の先端にあるからです。
切除する際は、マイクロスコープとCTを用いて可視化し、外科的に切除します。
切除する箇所は、根の通り道が枝分かれしている先端から3mmの位置です。
また、嚢胞を吸い出すことで治るケースもあります。
切除した歯根には、切除した箇所に医療用のMTAセメントを充填して穴をふさぐ、逆根管充填を行います。
きちんと密閉して、細菌を閉じ込めることで成功率は高まります。
歯根端切除術のメリットとデメリット
歯根端切除術は、抜歯を避けられるケースが増えるという点がメリットです。
根管治療ができない歯は、本来であれば抜歯が必要となりますが、歯根端切除術で治療が可能な場合には抜歯をせず残しておくことが可能です。
また、歯根端切除術の成功率は、従来は20~60%ほどしかありませんでした。
以前は、マイクロスコープやMTAセメントを使用していなかったため、成功率が低かったのです。
しかし、現在はマイクロスコープを使用し、切除した後はMTAセメントで隙間なくふさげます。
他の器具の進歩もあり、今では90%以上の成功確率です。
デメリットとしては、外科治療になるため治療後に歯茎の腫れや痛みが一時的に出ることがあるという点や、治療後に下が歯茎が下がることがあるという点が挙げられます。
痛みや腫れは服薬でコントロールでき、歯茎が下がることはめったにあいませんが、注意しておきましょう。
まとめ
歯根端切除術は、歯根の先端に嚢胞があり根管治療でも治療ができない場合に行う、外科的な治療です。
歯根の先端を切除してMTAセメントなどで密封し、嚢胞を除去するという治療を行うことで、抜歯しなくてはならない歯も残すことができます。
以前は成功率も低かったのですが、今は器具などが進歩してほとんどの場合成功するようになったため、安心して治療を受けてください。