
歯並びが悪いと、歯の並ぶスペースが足りずに歯の位置がずれてしまったり、歯の間が狭くなったりすることもあるでしょう。
歯並びが悪い中で一部の歯を失った場合は、インプラント治療も難しいケースもあります。
今回は、スペースが足りないときの選択肢となる、ナローインプラントについて解説します。
ナローインプラントとは?
インプラント治療を受けるには、歯を支える歯槽骨の高さや幅などに条件があり、不足していると治療を受けられないこともあるでしょう。
歯槽骨の幅が狭いのにインプラント治療を無理に行うと、インプラントが骨からはみ出してしまうこともあるのです。
幅が狭いときは骨を増やす治療で幅を広げるという方法もありますが、径の細いインプラントを選ぶという選択肢もあります。
インプラント治療には治療方針があります。
たとえば、天然歯と密着せず1.5~2.0mm程度の距離を開けなくてはいけません。
また、インプラントを連続して埋入する場合には、3.0mm以上の距離を確保することが求められるのです。
従来のインプラントは径が5.0mm前後のものが多いのですが、狭い場所に適したナローインプラントであれば径は3.5mm以下となります。
従来のインプラントでは治療できなかった骨の幅が狭いケースでも、骨を増やす治療をせずにインプラント治療が可能です。
奥歯の治療であれば、通常は5.0mm径のインプラントを使用することが多いのですが、前歯であれば垂直の噛み合わせには関係がありません。
径が小さいと強い力に耐えきれない可能性がありますが、前歯であれば問題なくナローインプラントの適応が可能です。
ナローインプラントの強度
インプラントを埋入する位置は重要で、最終的に上部構造を装着した時のことまで考えて埋め込む位置を決めなければなりません。
もしも天然歯に近すぎる位置を選んで埋入してした場合には、上部構造を装着する際に邪魔になったり、清掃しづらくなったりする可能性もあります。
ナローインプラントは径が小さいため、負荷がかかった時に破折してしまうのではないかと心配するかもしれません。
従来であれば、ナローインプラントは噛み合わせと関係なく負荷がかかりにくい前歯に使用するものとされていましたが、近年では前歯以外にも使用されています。
インプラント体はチタンで作られるのが一般的ですが、さらに強度が高いジルコニアなどを混ぜることで強度を増すことが可能です。
強度を増したナローインプラントであれば、奥歯に使用しても長期的な使用に問題がないといわれています。
奥歯でも、骨の幅が狭いときに骨を増やす治療を避け、必要な場合も軽度な治療だけで済むため、負担を大幅に減らすことが可能です。
まとめ
ナローインプラントは、通常であれば5.0mm前後の径であるインプラント体を3.5mm以下の細さにして使用する治療です。
従来の治療では骨の幅が足りずインプラント治療ができなかったケースでも、骨を増やす治療が不要なままでインプラント治療をできるようになります。
細い分、強度が不安だと思われることもありますが、インプラント体の素材に従来のチタンだけではなくジルコニアなど強度が高い素材を混ぜることで、奥歯への使用が可能です。