虫歯の歯の治療方法の1つに、意図的再植術という方法があります。
根管治療を行った後に行う治療で、大切な歯を保存するための治療方法です。
一度抜歯した歯をもう一度戻すという治療で、非常に困難な治療のため慎重に行う必要があります。
具体的に、どのような治療なのか解説します。
意図的再植術とは?
虫歯が歯の根元まで及んだときは、根管治療を行います。
虫歯の中には、根管治療を行って精密に治療しても、治らないことがあります。
過去に根管治療を行って、治らなかった歯を後から治療する場合に、意図的再植術という治療を行います。
意図的再植術では、いったん歯を抜歯して、歯根の病変部分をカットします。
カットした部分にはMTAなどの薬剤を詰めて、元通りの場所に再植します。
およそ3カ月が経過した頃には、骨が再生して歯がしっかりと固定されます。
治療する際に注意が必要な点は、歯根膜です。
歯根の周囲にある膜で、乾燥してしまうと細胞も死亡して、再植が成功する可能性が低くなってしまうのです。
乾燥するまでの目安は、抜歯から約17分です。
抜歯処置も、歯根膜を傷つけないよう細心の注意を払いながら、ゆっくり行う必要があります。
意図的再植術が適応するケース
意図的再植術は、どのようなケースにも適応するというわけではありません。
適応するケースもあれば、しないケースもあるのです。
適応するケースについて、解説します。
適応するケースとしてまず挙げられるのは、歯根が破折してしまった場合です。
歯根が破折すると、抜歯を余儀なくされることが多いのですが、どうしても残したいと希望した場合には、一度抜歯して、破折部分を接着して補修してから元に戻します。
歯根の側面に穴が空いた場合も、適応するケースです。
歯根の側面に穴が空くと、骨の部分まで感染が及んでしまうため、一度抜歯して穴をリペアした後、元の状態に戻します。
また、根管治療の中には非常に難しいものもあります。
根管内から治療するのが困難な場合には、一度抜歯して、先端部分の病変を切り取ったうえでMTAなどの根管充填剤で歯根を塞ぎます。
まとめ
歯の根の部分の虫歯を治療する根管治療でも治療が難しい場合や歯が破折した場合、側面に穴が空いている場合などは、意図的再植術という治療があります。
一度抜歯して、治療を終えてから再び戻すという治療方法で、非常に高度な治療技術が必要とされます。
歯を大切に保存したい場合は、意図的再植術での治療も選択肢に入るかもしれません。
ただし、適応するケースは限られているので、可能かどうか歯科医に相談しましょう。