入れ歯はお口の形に合わせて作製しますが、長く使ううちにズレや痛みを感じることは珍しくありません。
その背景には、入れ歯自体の消耗に加え、加齢に伴うお口の変化も関係しています。
もしも合わない入れ歯を無理に使い続けた場合、「フラビーガム」と呼ばれる症状に進行する恐れがあるため、早めのケアが必要です。
今回は、フラビーガムがどのような状態を指すのか、もし心当たりがある場合にはどう対処すべきかを解説します。
フラビーガムとは?
使い慣れた入れ歯が少しずつ合わなくなるのは、珍しいことではありません。
「少し痛むけれど、まだ我慢できるから」と、合わない状態のまま無理に使い続けると、後々さまざまなトラブルを招く恐れがあります。
その代表的なトラブルの1つが、フラビーガムという症状です。
フラビーガム(Flabby gum)とは、顎の骨を覆う粘膜が弾力を失い、コンニャクのようにぷよぷよと柔らかい状態に変化するトラブルです。
合わない入れ歯で刺激を与え続けると、土台となる骨が吸収されて痩せていきます。
同時に、慢性的な刺激を受けた粘膜は、傷を補おうとして以上に分厚く、硬く増殖していくのです。
特に上の前歯部分に起こりやすく、土台となる組織が動いてしまうため、入れ歯が沈み込んで安定感を欠くようになってしまいます。
フラビーガムの対処法
フラビーガムになった場合の対処法として、切らずに治す「非外科的対処」と手術で治す「外科的対処」の2つがあります。
非外科的対処である「ティッシュコンディショニング」とは、入れ歯の内側に特殊な調整剤を加え、粘膜への刺激を和らげて回復を促す方法です。
この方法は、症状が軽度の場合に十分な効果を発揮します。
ただし慢性的な刺激で粘膜の厚みや硬さが顕著な場合には、外科的対処が必要です。
手術によって増殖した組織を取り除き、入れ歯が安定しやすい土台へと整えます。
フラビーガムの処置をせずに入れ歯を新調する場合は、「無圧印象」という非常に高度な技術が求められます。
これは、専用のトレーを用いて、柔らかくなった粘膜に圧力をかけずに型取りを行う方法です。
フラビーガムのように組織が変形しやすい状態でも歪みのない型取りができるため、お口にフィットする入れ歯を作製できます。
フラビーガムの状態が進むと、十分な咀嚼ができなくなるだけでなく、持続的な痛みによってストレスも蓄積していきます。
こうした状態は、全身の健康にも悪影響を及ぼして、日常生活の質を大幅に低下させてしまうでしょう。
不便な毎日を解消し、健康的な生活を取り戻すためにも、適切な対処が必要です。
ズレや痛みがたとえ小さなものであっても重要なサインと捉え、早めに歯科医院を受診してください。
まとめ
合わない入れ歯の刺激によって、顎の骨の上にある粘膜がぷよぷよした状態に変わるトラブルを、フラビーガムと呼びます。
入れ歯による刺激で顎の骨が減っていく一方で、傷ついた粘膜は自らを守ろうとして厚みを増し、結果として入れ歯の安定性が著しく低下します。
土台が不安定になるため、入れ歯がガタついて噛みづらくなりますが、非外科的対処と外科的対処によって改善を図ることが可能です。
もしも入れ歯を作り直す場合には、粘膜に圧力をかけずに型を取る無圧印象という高度な技術が必要です。